TIFF二日目、コンペ部門の「るにん」を鑑賞。奥田瑛ニ監督第2作目。
初っ端から女優・松坂慶子を見せ付けられました。
奥田瑛ニ=フランス被れのエロ親父。
って感じしません?宣材写真も岩に抱きつく松坂慶子でしょ。
明らかにエロいんだろうなぁ。奥田瑛ニだもんなぁ。
だからって濡れ場を大胆に演じた松坂慶子女優魂を見たわけではありません。
「少女」(奥田瑛ニ初監督作品)は観てないので監督のエロさの度合い(?)が
良く判りませんが、全くこっちはエロさを感じなかったのです。
それなりにセックスシーンってのはこっちが見ててドキマギするもんですけど、
全くこの映画にそういう気持ちは湧いて来ませんでした。
それが奥田監督の意図なのか、単にあたしがそう感じたのかははっきりと
判りませんが、多分意図的かと思います。体を売って生計を立ててるわけですから、
そこに愛はなく(といっても、女性ならではの包容力はある)一方通行的なだけで
こっちにそれは伝わらない。なので愛し合う西島千博さんとの間にそういうシーンは
全くないですから…それこそが一番エロいというのを監督も判ってるんでしょうね。
無駄なセックスシーンが多いのは、それを浮き彫りにする為の手法って事で。
浮き彫りにしようとしてるけど精神的な繋がりが深いっていうのも伝わって来ない
んですよね。それが足りてないからエロさをこの映画に感じなかったのです。


それとあたしの勝手なイメージのフランス被れってトコですけど、
妙にアーティストちっくに自分を監督はプロデュースしてるじゃないですか?
そこがこの映画にもあって、それがね少し臭ってきました。
愛で纏めるのがどうもあたしとしては折角の題材、折角の女優・松坂慶子
使ってここまでか。っていうのを感じたのです。
鳥も通わぬ八丈島の話ですが、大飢饉もそこまで酷く演出されてないし、口承でしか
その大飢饉は伝えられてないのです。だから危機感がこっちにも伝わって来ない。
唯一、狂人を監督自ら演じたのは監督自身もそれを危惧したからなのでしょうか。
とにかくどっちつかずの映像なのですよ。過酷な話を過酷に描いたわけでもないし、
アーティストちっくに艶やかに松坂慶子を撮ったわけでもない。


ただ、出演者の気持ちは一丸となってるのは伝わって来ました。
それは舞台挨拶に登場した、松坂慶子、小沢まゆ、麻里也が口を揃えて話した事。
特に松坂慶子の意気込みは凄みを感じました。
本人から「女優魂」という言葉が出てくるとは…。やはり松坂慶子は女優なんですよね。
しかも映画女優。今もドラマのお母さん役をしてますけど、映画の中での特筆すべき点は
松坂慶子の凄みを感じれる所です。他のキャストの方も悪くないですよ。
大久保鷹さんとか、下元史朗さん、諏訪太朗さんなど出ててSBP好きには嬉しい人選ですし、
作家の島田雅彦さんも知的に登場。舞台挨拶に登場した麻里也さんは秋川リサさんの
娘さんで初出演であの演技は毎日監督に怒鳴られて出せたモノらしいですが、
悪くなかった。そして、なんと言っても松坂慶子扮する豊菊を姉と慕う、ひかる役の
ひかるさん。流暢な京都弁で嫌味がなくスクリーンに登場した途端あたしは眼を奪われて
しまいました。ひかるさんについて調べると祇園の高級クラブでお勤めされている
ニューハーフの方らしいですが、あの飄々、淡々とした演技には眼を見張ります。
最後の立ち回りシーンは別にいらないんじゃないかな。